子宮頸がん(人パピローマウイルス)ワクチン
ヒトパピローマウイルスワクチンは2種類あります。どちらも不活化ワクチンですが、筋肉注射になります。防御するウイルスのタイプ、開始年令、投与期間が異なります。2006年に米国をはじめ諸外国で承認され、日本でも2011年から使用可能となりました(ガータシル4価ワクチンは2012年)。どちらのワクチンも接種できますが、どちらかのワクチンを接種すると、途中から他方のワクチンに変更することはできません。子宮頸がん予防ワクチンに関する公費負担については、富山市のホームページを言参照下さい(富山市のホームページはこちらです)。
サーバリックス;2価ワクチン(16、18型)、10才以上の女性が対象で、3回接種(1回目2回目の間1ヶ月、3回目は1回目から6か月)(製薬会社サ-バリックスホームページはこちらです)
ガーダシル;4価ワクチン(6、11、16、18型)、9才以上の女性が対象で、3回接種(1回目2回目の間2ヶ月、3回目は1回目から6か月)(製薬会社ガーダシル医療者用ホームページはこちらです)(ガーダシル添付文書)
ヒトパピローマウイルスは、現在150種以上の遺伝子型の異なる型が知られていますが、このうち約40種が生殖器に感染します。ヒトパピローマウイルス感染は、アメリカでは14-19才では25%、20-24才では45%が罹患していると言われています。最終的に男女とも生涯のうちに7-8割が感染すると考えられています(ただし、すべてが発症するわけではありません)。
ヒトパピローマウイルスは生殖器粘膜上皮基底細胞に遺伝子の形で存在し、細胞が増えるときに伴いウイルス遺伝子が引き継がれていきます。しかも基底細胞ではウイルス蛋白を発現しないため、ヒトパピローマウイルスの潜伏感染(症状がないまま感染状態を続ける)が成立すると言われています。表皮形成の最終分化を始めた感染細胞では、細胞分化の進行に同調して遺伝子の複製とウイルス蛋白質の合成がおこり、ウイルス粒子が形成されます。長期間無症状ですが、ウイルス増殖に伴って病変が形成されることになります。
ヒトパピローマウイルスのうち、子宮頸癌発がんに関係するものを高リスク型(16、18、31、33、45、52、58型等)、良性の尖圭コンジローマ等の原因となるもの(6、11型等)を低リスク型と呼んでいます。16型が最も高頻度で子宮頸癌に検出され、50~60%を占めています。2番目に多い型は、欧米では18型ですが、わが国では18型より33や58型が多いとされています。
予防接種のみで、全ての型のヒトパピローマウイルス感染症を完全に防げるかどうか、またがんへの変化を防ぐことが出来るかどうかはまだ誰も答えをもっていません。そのため子宮頸癌を予防するために、予防接種をしていても子宮癌の定期健診は重要と言われています。