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咽頭結膜熱(プール熱)

 咽頭結膜熱(プール熱)は発熱、咽頭炎、眼症状を主とする小児の急性アデノウイルス感染症です。本疾患の原因であるアデノウイルスは、現在51種類の血清型(種類)が知られており、咽頭炎、扁桃炎、肺炎などの呼吸器疾患、咽頭結膜熱、流行性角結膜炎などの眼疾患、胃腸炎などの消化器疾患、出血性膀胱炎などの泌尿器疾患から、肝炎、膵炎から脳炎にいたるまで、多彩な臨床症状を引き起こします。多くのアデノウイルスは、潜伏期は5~7日で、感染経路は便、飛沫、直接接触によります。種類が多いため、何回も同じような症状を呈することがあります。

 アデノウイルス感染症としては、特に季節特異性がなく年間を通じて分離されていますが、その中で咽頭結膜熱としては、通常夏期に地域全体で流行します。消毒のために使用されている遊離残留塩素濃度が低下したため、ウイルスを含んだプール水から感染することがあり、そのため咽頭結膜熱はプール熱と呼ばれることがあります。この感染を防ぐために、プール水は遊離残留塩素濃度が0.4mg/l以上、1.0mg/l以下となるように消毒を行うことと規定されています。

 アデノウイルスに対しては、特異的治療法はなく、対症療法が中心です。眼症状が強い場合には、眼科的治療が必要になることもあります。予防としては、流行時にうがいや手洗いをしっかりすることが重要と言われています。

 補足ですが、咽頭結膜熱によく似た病気で、流行性角結膜炎と言うのもありますが、これもアデノウイルス感染症で、症状が重症から軽症まであり、最近では、アデノウイルス結膜炎という診断が提唱されています。

(国立感染症研究所感染症情報センター資料より作成)

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